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TF活動報告動画

TF (ティーチング・フェロー)活動の事例を掲載しています。TFにご興味のある教職員、学生はぜひご視聴ください。なお、2023年3月10日のFDの録画を学生の同意を取って一部使用しています。開催報告はこちらをご覧ください。

YouTube (限定公開)

TF活動をした動機、担当した業務内容、準備した事、全体の感想などについて語ってもらいました。(1人10~15分程度)
<報告者>
・塚原 壮平(理学府 物理学専攻 D1)「熱力学概論」のTF活動を通して[対話形式]
・松尾 美香(理学府 化学専攻 D2)「物理化学Ⅳ」のTF活動を通して[対話形式]
・阿部 隼人(生物資源環境科学府 環境農学専攻 D1)「生態水文学実習」のTF活動を通して[対話形式]
・川上 隆(工学府 土木工学専攻 D2)「土木実践教室A」のTF活動を通して[プレゼン形式]
・林 萌英(理学府 地球惑星科学専攻 D1)「電磁気学基礎概論」・「太陽惑星系物理学」のTF活動を通して[プレゼン形式]

公開期間:2023年3月~2028年3月


座談会企画

九大のTA制度について学生(既卒者含む)が意見交換した座談会の様子を公開します。
TAに興味がある学生のみなさん、TAについて学生が実際にはどう思っているのかを知りたい先生方はぜひご視聴ください。

YouTube (限定公開)

この動画は、PFFP修了者・TA経験者が九大のTA制度について意見交換する様子を撮影させてもらい、一部抜粋したものです。(約12分)
<主な内容>
・九大のTAってどうなの? ・TFに必要な授業「PFFP」を受けた感想は?


インタビュー企画

九州大学では、2019年度後期から新しいTA(ティーチング・アシスタント)制度を開始しています。この企画では、新TA制度において新しく設けられた3つのTA階層の中でも、最も高い階層であるTF(ティーチング・フェロー)の活動について教員とTFにそれぞれインタビューを行い、紹介します。
TF活動をしてみたいけど不安を感じている学生のみなさん、TFに具体的にどういった活動を依頼したら良いのか迷っている先生方はぜひともお読みください。

言語学・応用言語学演習X

TF

教えることの楽しさを改めて感じる

ダニエル・ギャラガーさん(人文科学府)

授業「言語学・応用言語学演習X」について

本授業では、学生自らが手を動かすことで、心理言語学実験を体験します。実験プログラムの作成、データの統計処理を学んだ上で、最終的には自身で計画した実験について期末レポートにまとめます。授業では、刺激提示ソフトウェア、統計解析ソフトウェアなどを用います。(同授業のシラバスから鄭が抜粋・修正)

(以下、Qは鄭、Aはダニエルさん)

今回TF活動に参加した動機を教えてください。
教育経験を得るためでした。もし私がアカデミアに残りたいとしたら、TF活動のような教える経験をもって就職を希望する大学にアピールしたいと思っています。「履歴書に書ける」というのはやはり一番大きな動機でした。

また、教えることが楽しいからです。私は英会話塾とインターネットで何年か教えたことがありますが[注:太田先生の授業でTFを務めた学生はアメリカ人の留学生]、とても楽しんでやっていました。

アメリカでは、博士課程の学生が教えることはかなり一般的です。私もそういった経験を常に求めていました。ですが、実際には日本の大学で博士課程の学生になってみると、そういう仕事が何もなかったので少し驚いたのです。

最後は、もっと良い教員になりたいという向上心からです。私にとってある意味当たり前なことでした。もちろん研究スキルのほうもよくしたいと思っていますが、個人的に、私は自分の教育スキルに強みがあると思っています。教育スキルをさらに良くし、また、それが学生さんの良い学びにつながってほしいと思いました。
九州大学PFFP**についてはどうやって知りましたか。
最初は太田先生ではなく、他の先生から、授業で教えてみないかと依頼を受けまして、そのときにPFFPについても教えていただきました。ですが、理由はよく把握していませんが、手続的にうまくいかなかったのか、その授業への参加は叶いませんでした。それでも私はTF活動をしてみたいと思ったので、指導教員の太田先生にTFについて相談してみたのです。先生は喜んで承諾してくださいました。

**九州大学PFFP

PFFPとは、Preparing Future Faculty Programの略で、将来大学教員になりたい大学院生のための教育プログラムを意味します。現在、PFFPに該当する授業科目は、「大学の授業をデザインする」(2単位)の1科目です。受講した後でも、TF資格審査に時間がかかるため、実際活動が可能になるまで時間がかかりますので、ご留意ください。例えば、前期集中のPFFPを受講しますと、最短で同年度の後期から活動が可能になります。

TF活動中に何を担当しましたか?それから先生からどのようなサポートを受けたかも教えてください。
私は脳波を測定し分析する実験の指導をしました。太田先生は、MRIやMEGなど、高い費用のかかる実験に関してはとても経験豊かな先生です。しかし、私が専門とする脳波の実験は他の実験方法よりは費用が比較的安めで、先生はそれほど豊富な経験を持っているとは言えませんでした。その意味では、私たちは、お互いに助け合いが少しはできたと思っています。また、授業中に私が間違えたりした場合は、先生が間に入り、正しい方向へ修正してくださいました。
TF活動をしながら特に重視したことがありましたか。
できる限り、授業に学生を巻き込むための工夫をしました。私は実験のデモを何度も見てきていますが、その場にいるときには「なるほど」「よし、分かった」と思っても、次の日になると全部忘れていたのです(笑)。それで、基本的には学生全員に、被験者が頭に付ける電極を装着してもらい、その上で、私が横についてやり方を説明しました。

また、できるだけ学生と関わり合いながら教えようとしました。私は学生と一緒に実験をし、同時に同じデータを見ているわけなんです。それで、学生に、「ここは心臓の鼓動なので心配しなくて良い」とか、「そこは接続が悪いから、一旦実験を止めて、電極をつけなおしましょう」とか声を掛けました。

他にも、実験方法に関する細かな注意事項を教えました。例えば、常にモニターを確認しながら,実験中に被験者が眠くなっているのではないか、動いているのではないかと確認をしないといけないという事です。データに大きなノイズができてしまうからです。
TF活動中、特に難しかったり、注意した点があれば教えてください。
できるだけ分かりやすく説明するようにしました。集まったデータを分析するためにはそれらをコーディングする作業が必要になりますが、学生たちはコーディングについて全く経験がないわけです。なので、学生たちにできるだけ丁寧に説明をしてあげました。例えば、これからプログラムを作らないといけないけど、aという作業、bという作業、cという作業、dという作業についてそれぞれ説明したうえ、それらを順番に行うプログラムを作ります、と伝えました。そして、そのプログラムを通して得られる結果の例を見せました。

それから、専門に深く入り過ぎないように注意しました。卒論を書くときに、太田先生の授業を受講した学生全員がこの実験を用いるわけではありません。なので、学生たちが難しく感じないようにしました。その代わりに、全体的な流れについて知ってもらいたかったです。そのために、実験をして、その後データを見せ、このようなきれいなデータを得るためにはどうすれば良いのかと、それについて調べましょう、という形で実験授業を進めました。
何か大変だった点などはありませんでしたか。
ありました。できるだけ丁寧に教えようとして、少し無理をしました。最初の授業計画では、学生たちに実験方法を見せて、どのような結果が出るのかだけ分かってもらえばいいので、実際の結果でなくて、結果の例だけを見せることになっていました。でも、やはり結果だけを見せるのではなくて、結果を得るまでのプロセスを体験してもらいたかったのです。ある意味私が入れたかったコンテンツを、先生は入れさせてくださったのです。けれど、これがまた大変でした。実験で得られた生のデータはそのままでは使えないので、結果に合わせてプログラムを作って、作ったプログラムを使って加工する必要があります。これらすべてを学生がするのではなく、私がある程度は処理してあげていました。これがわりと時間がかかりまして、例えばバグが出たり、トラブルシューティングする必要があったり、そしてプログラミング自体に時間がかかったりしていました。
日本語で教えることが難しくはありませんでしたか。
確かにそうでした。日本語と英語で、単語が同じで発音も似ていれば、それは通じますが、そうでない場合もたくさんありました。それで、事前に授業の内容に関して日本語の勉強をしました。この事は、私のような留学生にとってPFFPとTF活動の大きなメリットでありまして、つまり、単に「教えること」について学ぶのではなくて、「日本で教えること」について学べたということです。
活動中、先生から何かアドバイスはありましたか。
特にタイムマネジメントについて指摘されました。例えば、被験者にアンケートと同意書を書いてもらうことの説明に結構時間を費やしていましたが、先生から、そこは要点を絞り、少し短めにして、後半の実験パートにもっと時間を使ってほしいと言われました。
TF活動を通して何が学べましたか。
やはりタイムマネジメントでした。TF活動を通して、授業計画を立てるときにかなり細かな時間配分を考えられるようになりました。例えば、同意書についての説明にかける時間、実験の各プロセスにかける時間、どれほど具体的に教えるか、また、それにどれほど時間をかけるか、などです。授業中何かをするときに、今自分がどれほど時間をかけているのか、自覚のようなものが得られたような気がします。
最後にTF活動に参加した感想を聞かせてください。
GREATでした。塾で英語を教えるのとはまた違う挑戦でした。学生を授業に関わらせるのは、想像していたより難しいということが分かりました。例えば、英会話塾だと、学生にできるだけ話をさせれば良かったのですが、TF活動では、こちら側から学生に、何か刺激を与えない限り何も反応してくれませんでした。塾で英語を学ぶ学生は「先生に会う時間が限られているから、できるだけ話そう」と動機づけがしっかりとできている感じですが、TF活動中教えた学生の中には、もちろん積極的に参加してくれる学生さんも多くいましたが、後ろに座って先生に一度も呼ばれないことを願っているような学生もいました。これは私にとっては初めての経験でしたし、楽しい挑戦でもありました。

それから、先程TF活動に参加した動機について聞かれたときにも答えましたが、やはり教えることが楽しかったです。私の説明が下手だったせいかもしれませんが、質問してくれる学生がいて、その学生とやり取りするのがとても楽しかったです。学生たちに、彼らが興味を持つとは思いもしなかった、または、存在することすら知らなかった新しい知識に興味を持たせることがとても楽しかったです。
インタビューは以上です。本日は、長時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
ありがとうございました。

聞き手・記事構成・和訳:鄭 漢模/記事作成協力:渕上 佑子
インタビュー実施日:2020年12月14日

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教員

指導学生に教育経験を与えたい

太田真理 先生(人文科学研究院 講師)

授業「言語学・応用言語学演習X」について

本授業では、学生自らが手を動かすことで、心理言語学実験を体験します。実験プログラムの作成、データの統計処理を学んだ上で、最終的には自身で計画した実験について期末レポートにまとめます。授業では、刺激提示ソフトウェア、統計解析ソフトウェアなどを用います。(同授業のシラバスから鄭が抜粋・修正)

(以下、Qは鄭、Aは太田先生)

今回TFを雇おうと思った理由を教えてください。
指導学生に教育歴が付くというのが理由です。学生が研究職に就職しようとする際に、もちろん研究者としての能力が一番大事で、パブリケーションが重要です。しかし、それらと同時に、「こういう科目が教えられます」とか「こういう授業を教えたことがあります」というのが書けたほうが良いと思います。こういうのは、特に最初のポジションに勤める時に評価対象になったりすることもありますので。今申し上げた研究と教育に加えて、九州大学PFFP**というトレーニングを受けていることが目に見える形で、ちゃんと説明できるのも院生の職探しにも繋がるのかなと思っています。

また、学部生の指導ができるマンパワーが必要だったことも理由です。例えば、学生たちが4年生になって卒論を書く時期になると、実験装置を使うようになります。できるだけ早い段階で実際手を動かしてもらうのが肝心です。しかし、20人とか学生がいると、私一人で全員指導することが非常に難しくなります。そこで、TFさんに、そういったマンパワーが必要な授業などを担当してもらえるのが非常に有難いです。

最後に、もちろん学生のためになる点が最も大きいですが、教員にとっても就職が決まらない学生がたくさん出ると非常に困るので、教員がTFを積極的に雇う理由にもなるのかなと思っています(笑)。

**九州大学PFFP

PFFPとは、Preparing Future Faculty Programの略で、将来大学教員になりたい大学院生のための教育プログラムを意味します。現在、PFFPに該当する授業科目は、「大学の授業をデザインする」(2単位)の1科目です。受講した後でも、TF資格審査に時間がかかるため、実際活動が可能になるまで時間がかかりますので、ご留意ください。例えば、前期集中のPFFPを受講しますと、最短で同年度の後期から活動が可能になります。

TFにはどのような仕事を依頼しましたか。
私の授業の実験パートを担当してもらいました。コロナ禍の中、教室に集まりづらくなったので、同じ実験を3回に分けて、4人ずつでやっています。その3回の実験授業をTFが担当しました。

それから、各学生に対する対応をお願いしています。例えば、実験授業中に学生が自分で実験をする時に色々分からない点が出てきます。しかし、教員に色々聞くのを遠慮する学生さんが意外と多いんですよ。そのときに、TFだと、「ちょっとここが分かんないので」と気楽に質問してくれます。おそらく同じ学生として身近に感じるので気軽に聞けるところがあると思います。他にも、15コマあるなかで、レクチャー形式の授業にもTFさんに参加してもらって、質問対応を手伝ってもらう形で進めました。

最後に、実験授業の設計にも一部関わってもらいました。例えば、脳波実験を学生に経験して欲しいというビッグテーマをTFに与えて、それを学生が楽しみながらできるように具体的にどういう実験をやるのかというのを考えてもらいました。その後、私とTFさんで一緒に検討して、実際に授業で実行しました。
TFを雇うことで逆に先生の負担が増えているようにも思えますが、いかがでしょうか。
最初から自分が楽を出来ると言うのをメリットとして考えていませんでした。それよりは今申し上げたようなTFに対する教育的な意図が大きかったですね。通常のTAだと、教えるというよりは教員のサポートをする立場に近いと思います。TFになったからこそ、TFにしかできない教育経験ができたと思います。
期待されていた教育的な効果は確認できましたか。
そうですね。同じ実験授業を3回やっているのと同じなので、タイムマネジメントもスムーズになっていきましたし、言い忘れや日本語で説明できない内容も減ってきました[注:太田先生の授業でTFを務めた学生はアメリカ人の留学生(インタビュー#を参照)]。つまり、1回目の失敗の反省を2回目に生かして、それをまた失敗して、その反省を3回目に生かしてという形でした。結果的には同じ授業内容を複数回やってもらったのは教育的な意味では効果が高かったと思います。
答えづらい質問かもしれませんが、実際TFと一緒に授業を実施してみて、TFの活動をどう評価しますか。
80~90点くらいにはなると思います。学問的な、つまり、実験に関するスキルだったり、知識という面では全く遜色ないと思いますが、やはり日本人の学生が相手なので、そこの説明になるとどうしても言葉の壁があります。そこは適宜私が補う感じでした。
最後にこれからTFを雇おうと思っている先生に一言お願いしてもいいでしょうか。
TF活動の大きな特徴の一つは、失敗しても大目に見てもらえる教育経験という点だと思います。私は大学院時代に研究者としてはたくさんトレーニングを受けましたが、授業に関わる経験はあまり持てませんでした。いざポスドクをやって、いきなり「あなたは今日からファカルティです」と、「担当授業はこれです」と言われ、どうしていいのか分からず、あわてたのです。私が九大に勤め始めた時にそういう状態で、手探りでやりました。もうちょっと学生時代に、つまり失敗しても大目に見てもらえる時に色々やっておけばよかったなと言うのが自分の反省としてありました。TF活動は、スーパーバイザーが横にいる状態で、失敗しても適宜補足できる状態で行われます。そういう意味で、TFにとって失敗からの学びが多いにあるかと思います。興味のある先生はぜひ一度考慮してみてはいかがでしょうか。
インタビューは以上です。本日は、長時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。
ありがとうございました。

聞き手・記事構成:鄭 漢模/記事作成協力:渕上 佑子
インタビュー実施日:2020年12月4日

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炉心理工学特論演習、高温プラズマ実験第一

TF

大学教員になるための修行として積極的に教育経験を積む

岳其霖さん(総合理工学府)

授業「炉心理工学特論演習」について

高温プラズマに関して、プラズマ物理や核融合工学など、理論的知識を学ぶ授業です。

授業「高温プラズマ実験第一」について

高温プラズマに関する実験を行いながら、プラズマ物理や核融合工学について学ぶ授業です。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、Aは岳さん)

今回TF活動に参加した動機を教えてください。
指導教員の花田先生から「TFというものがあって、やってみたい人いますか」と聞かれて、私としてはいいチャンスだと思ったので、「やります!」と手を挙げました。もともと研究室ではTAとして働くことになっていましたが、どちらかといえばTAではなく、TFとして活動してみたいと思いました。まだ中国で学部生をしていた時ですが、家庭教師の仕事をしながら、教える事に興味を持つようになりました。また、将来大学教員になりたいと思っており、TFはまさに教員になるための訓練として、良い経験を積むことができると思いました。他にも、私がM1の時、D1の先輩に色々教えてもらって助けられた経験がありまして、私もあの先輩のように教えられる人になりたいなと思いました。
TF活動ではどのような業務をしましたか。
「炉心理工学特論演習」では、毎朝30分間の勉強会があります。その毎朝の勉強会で、プラズマに関する英語の本を読んで、その内容を学生に分かりやすく説明する仕事をしました。とても難しい本なので、勉強会の中では、その本の内容に関わる参考文献や論文を探してきて、本の内容を補足する形で説明しました。勉強会の進行中には、質問が出れば、その場で答えたりもしていました。私にはどうしても答えられない場合は、その場にいらっしゃる花田先生に聞きました。こういった勉強会での活動を通して、知識を蓄えていき、90分の授業も2、3回担当しました。

次に、「高温プラズマ実験第一」では、真空実験に用いられるソフトウェアとハードウェアの使い方、真空度を観測する方法などを教えたりしました。こちらも2、3回担当しました。実験では、安全基準を守るべきところとか、操作する前にどんな準備をするとかなど、規則に従わないといけないところがたくさんあるし、事前に言っておく必要があります。これもまた私が教えました。個人的に実験の方が授業より馴染みがあるので、どんな時にどんなことをするべきか、どんなことに注意しておく必要があるのかを教えることは、それほど難しくありませんでした。
TF活動をする上で、最も大変だったことは何でしたか。
特に毎朝の勉強会の準備が大変でした。専門知識だし、教える側なので、その日に教える内容について全部理解しておかないといけないと思い、毎日多くの時間をかけました。しかも、教える対象が同じ大学院生で、かなりの専門知識を持った人たちですので、間違った内容を教えるといけないし、学生さんがどんな質問をするか本当に分からないものですから、きちんと用意しておく必要がありました。
ご出身が外国でもいらっしゃいますが、言葉の問題はありませんでしたか。
そうですね。今授業で使っているプラズマの本は英語で書かれていますが、授業をとるほとんどの方は日本人です。私は中国人ですから、英語も日本語もネイティブじゃないので、例えば、本に分からない英語が出た場合、一度中国語に訳して、中国語から日本語に訳しています。説明するときにも困ることが結構ありました。そういう時は、花田先生に教えていただきました。少し難しい点もありましたが、これもいい経験だと思っています。
TF活動をして、良かったと思ったことはありますか。
授業の準備に時間はかかるし、内容がすごく難しくて、上手く説明できないこともありました。しかしそれでも、将来この分野の専門家になるためには当然すべて学ぶべき知識ですから、私の研究のためになると思いました。また、学生に教えながら、一緒に議論することもできる点が良いと思いました。同じ専門であっても、研究の方向が違ったりするので、学生さんたちと議論しながら、私も勉強ができました。
TFを担当してみての感想を聞かせてください。
授業の難易度や、受講者が大学院生であることなど、やはり、授業って難しいなと感じました。家庭教師とは全く違いました。それから、大学教員の大変さを理解できました。花田先生は春学期にはM1の授業を数十人に向けて行いますし、普段の研究や実験にも参加しています。やっぱり先生はすごいなと感じました。そして私は、研究や実験、授業のバランスをどういう風に取るのかをきっちり考えておかないといけないと思いました。色々大変でしたが、とてもいい経験が出来たので、もしまたチャンスがあれば、D3までずっとTF活動を続けたいです。TF活動をした経験は、大学教員になるためだけでなく、今後の人生にも役立つと思っています。

聞き手・記事構成:鄭 漢模/記事作成:鄭 漢模、渕上 佑子
インタビュー実施日:2021年3月24日

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教員

大学教員を目指す大学院生に大学での教育経験を

花田和明 先生(応用力学研究所 教授)

授業「炉心理工学特論演習」について

高温プラズマに関する実験研究を通じてプラズマ物理や核融合工学について学習する授業です。

授業「高温プラズマ実験第一」について

高温プラズマに関する実験を通じてプラズマ物理や核融合工学について学習します。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、Aは花田先生)

まず、花田先生の研究分野について教えてくださいませんか。
地上に人工太陽を作るといった核融合発電を目指した研究をしています。核融合発電を行うために、日本と欧州共同で作った『JT-60SA』という装置がありまして、こちらと共同研究をやらせていただいています。私自身はずっとこの核融合プラズマの研究をやっており、九州大学では「QUEST(クエスト)」という大きな実験装置を作って運転しています。QUESTの最大の目的は、将来の核融合発電です。発電しようと思うと1年間ぐらい運転し続けなければいけないんですが、現在の世界記録というのはQUESTが持っている6時間です。これを1年という時間に延ばすためには、まだたくさんの基礎研究が必要ですので、そういった研究を行っています。
どのような経緯でTF制度について知りましたか。
私は2019年度まで応用力学研究所の所長をしておりまして、部局長会議にずっと出ていたんです。そこで、当時の教育担当の丸野理事からTF制度を作りたいという事で、何度かご説明を伺っていたんです。伺った当初は、かなりチャレンジングで、学生に講義をしてもらうような制度が本当にうまくいくのかとちょっと不安にも思いました。
それでもご自分の授業でTFを任用しようと思った理由を聞かせてくださいませんか。
TFという制度があるけどやってみないか、と当時のドクターの学生2人に声を掛けたところ、手を挙げたのが今回任用した岳さんでした。彼は人から一から教えてもらって人生がすごく変わったという経験があるらしくて、人にものを教える事をすごく大事に思っていました。それだったらTFとしても頑張ってくれるだろうと思い、推薦しました。
TFにはどのような業務を依頼しましたか。
岳さんには2つの授業での活動を依頼していました。

まず、「高温プラズマ実験第一」では、様々な種類の計測器、真空装置の使い方の説明などを担当してもらいました。QUESTはかなり複雑な装置ですので、様々な計測機器が付いています。使用するにはその計測器の全てを知っておく必要があります。また、大きな電力も使いますし、X線も出るので、安全に使用するためにはこの装置でどのようなことが行われているのかをきちんと把握しておく必要があります。

もう一つの「炉心理工学特論演習」では、教育活動の一部と英語での授業資料作成をお願いしました。これは核融合についての基本的な内容を説明する授業で、日本人向けと外国人向けの講義があり、どちらも担当してもらうことにしていました。日本人、外国人どちらにもすぐ使えるように、授業の資料は全部英語で作ってもらいました。
岳さんから、毎朝の勉強会でも岳さんが教えているとお聞きしました。その教育効果について教えてくださいませんか。
その30分間の勉強会は、人に教えるという経験になると思っています。授業というのは、ただ教科書を読んで、そのまま右から左に教えるだけでは成り立たないものなんですよね。自分で「こういうことをちゃんと説明したい!」という意識を持って、「どう説明したら分かってもらえるか」という所へ戻って、資料を作らないとうまくいかないものです。その意味で直接教えるという経験は、非常に重要だと認識しています。また、相手から質問が出た時に、相手が何を聞きたがっているのか、どのレベルのことを聞きたがっているのか、というのをキャッチするのがなかなか難しいのです。岳さんが実際に授業を経験するにあたり、ゼミの中で受講生から出てくる色々な質問に受け答えをしていくことは、それに備える良い練習になります。場合によっては、岳さんが少しピント外れの回答をすることもありましたが、その時は私が「その回答は質問とちょっとずれてますよ」とか、「質問の内容にちゃんと答えられていませんよ」とか声掛けをするので、岳さんにはいい勉強になるでしょうし、受講生に対しても授業の質を損ねずに済むので大きな問題はありません。
とりわけ勉強会や授業中は、TFを見守ってあげつつも、ところどころサポートもされていたのですね。授業の準備段階においても何かサポートやアドバイスをされたことはございますか。
そうですね。岳さんが説明したい内容が受講生にちゃんと伝わっているか、それから内容に間違いがないかということを確認する必要があることを話しました。また、説明の仕方とか、話し方とか、そういったことを指導しました。準備をしっかりやって、岳さん自身が内容を十分に理解した上で、「私(TF)はこの1時間半という決まった時間の中で」、「こういう内容を教えたい」ということを心がけてもらい、それに見合う資料を作ってもらいました。その後、私が資料を一度チェックし、「ここはちょっと変えた方が良い」とか「こう説明したらどうか」などとアドバイスをした上、講義に臨むようにしました。
実際にTFを任用してみたご感想をお聞かせ願います。
TFを雇うことで教員の負担が減るのではないかとの期待もありましたが、それは全く違いました。むしろ、増えました(笑)。増えるんですけど、やはり学生さんが自ら講義を担当して教育経験をするということはものすごく大きいと思います。教員が大変な苦労をするんですけども、それ以上に学生さんが得るものがものすごく大きいので、この制度自体はもっと推進すべきだと思います。ただし、教員が楽になるということは全然無いです。これだけは言っておきます。それでも苦労し甲斐というか、確かにやり甲斐はあります。

聞き手・記事構成:鄭 漢模/記事作成:鄭 漢模、渕上 佑子
インタビュー実施日:2021年3月11日

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課題協学科目

TF

PFFPで学んだことを生かした授業づくり

古賀一成さん、大久保勇利さん(理学府)

本授業では、専門分野の異なる3名の教員が一つのクラスを担当し、各々異なった視点から、教室テーマに沿い、かつ、グループ学習に適した題材(協学課題)が提供されます。本授業の目的は、各学生に、協学課題を考えるために必要となる講義に加えて個人演習やグループ作業を実施し、幅広い視野をもって問題を発見する姿勢や問題の解決を目指して学び続ける態度と技能、また専門を異にする他者と協働できる能力を身につけさせることです。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、Oは大久保さん、Kは古賀さん)

今回TF活動に参加した動機を教えてください。
僕はそもそも教育活動、特に理科教育に興味がありました。近年「理科離れ」というのがよく言われています。高校などの理系科目では計算やテクニックは学ぶけれど、その面白さの本質をあまり学べていない気がしています。僕は物理を専攻していますので、それに対して何か行動が出来ればと思っていました。そういう気持ちも持ちながらTA活動をするうちに、活動にもう少し自分の考えを反映させたいと思うようになりました。しかし、そうするには自分が教育に関する知識をまだ十分に持っていないと思いました。なので、まずはPFFP(注:大学院生向け大学教員養成講座)を受講して知識を身につけ、教育活動に関わってもっといろんな権限が与えられるTF活動を通して、自身の考えを行動に移したいと思いました。
TF活動をしようと思ったのは、自分の学生時代の業績の一つになると思ったからです。もともとPFFPを受講したのは、大学で取れる資格があるなら取っておこうというくらいの気持ちからでした。新しいTA制度が始まったばかりで、まだPFFPの内容についての詳しい情報が無かったし、実際にそれが役に立つかどうかも分からない状態で受講しましたが、結果、受けてすごく良かったと思っています。
TF活動ではどのような業務をしましたか。
今TFとして活動している授業は課題協学科目で、自分が専攻している物理学ではありません。その授業でグループワークのファシリテーションというのをメインに担当しました。グループワークは理系の授業でも取り入れることができると思っています。特に、学生のような「非専門家」に授業をする場合には飽きさせない仕組みを作ることが大事だと思うからです。このTF活動ではそれを学びたいと思って取り組んでいます。
僕は毎回のグループワークの設計をして、そのグループワークで使うスライドも毎回自分で作りました。授業の中身そのものは僕の専門外なので、そこは先生がされましたが、授業の進め方などに関して提案したりしました。大学院生である自分が授業について提案をしたら、先生が気を悪くされるかと思いましたが、そんなことはなく、むしろ喜んでくださり、協力して授業を作ることができました。
TF活動の前にどのような準備をされましたか。
本授業には事前に行われるミーティングがありますが、そこでは、何を教えるのか、またそれをどういう風に教えるのかを話し合い、先生方とTF・ATA間のお互いの認識を合わせていくところから始めました。また、グループワークの内容が重複しないように、TF・ATA同士で打ち合わせもしました。僕に限って言えば、自分の役割を把握し、その中で授業の進め方に関して多少意見も言わせていただきました。また、学生のグループ分けが必要だったので、授業時間外にそれをやりました。それから、授業の内容で専門的じゃない部分、先生がやらなくても良いような、例えば共同作業のやり方だったり、スライドへの参考文献の書き方だったり、そういった部分の説明を任されていたので、その説明用のスライドを作成しました。
僕も事前準備はOくんとほぼ同じです。Oくんの仕事にプラスαで授業設計をやっていた感じです。その時にPFFPの資料を読み直したり、長沼先生(PFFP担当教員)が参考文献にあげていた本を借りて読んだりしました。
事前の準備にかなり時間を費やされたと思いますが、大変ではありませんでしたか。
正直に言って、僕は全然平気でした。もともと教えるのが好きなんだと思います。授業設計も大変といえば大変ですが、自分が作ったものを実践してみたらどうなるんだろうとちょっと楽しみでした。
PFFPの内容はTF活動の中でどのように活かされましたか。
活用したとまでは言えないかもしれませんが、授業に臨む上で、PFFPで学んだ逆向き設計論」(注:授業目標を定めたうえ、それに適する評価方法、教える内容・教え方を整合的に考えていく教育設計方法)を意識しました。もちろんTFがゼロから授業を作るわけではないのですが、各回の授業設計には参加させてもらえたので、授業で得た知識を実践に使おうという意識を持ってミーティングに臨みました。
授業設計に関与することが多くて、毎回の授業の構成も考えて、先生と内容を確認しながらTF活動を行っていました。例えば、初回に先生が作った授業の設計シートを見せていただいたところ、最終週で各グループがそれぞれの成果物を発表することになっていたので、そこに向かって逆向き設計で、毎回の授業の目標到達点を考えました。以前の制度のTAの時は授業設計に自分の意見をいうことができませんでしたが、PFFPを修了して、実際にTF活動をしてみると、「PFFPを修了してTFになっている」という後ろ盾があるので、根拠を持って意見を言えるようになりました。
TF活動をしてみた感想をお聞かせください。
学生の前に立って話していると、反応がダイレクトに伝わってきて、自分が用意したスライドや説明の仕方が良かったか悪かったかというのがちゃんと分かります。以前の制度のTAのときには先生の指示に従って動くだけでしたが、TFになって学生の反応が見られるようになり、嬉しく感じました。勉強にもなったと感じています。また、これはTF制度そのものに関する感想になりますが、TFは、授業に関する先生の負担軽減にもつながり、先生が授業の内容に専念できるようにサポートできると思いました。例えば、この授業にはATA1人、TF2人がいたので、先生同士がわざわざ集まるまでもないようなグループ分けやグループワークの内容についての相談は、TFレベルで解決できました。他にも、Kさんのクラスでは先生とKさんの間で専門的な内容の部分と、そうでない部分の役割分担が出来ていました。こんな風に、専門性が不要な分野や先生の苦手分野をTFがカバーしていくのは先生方にとってもメリットがあると思います。
さっきも言いましたが、PFFPを修了してTFになっているという後ろ盾があると、自信を持って色んな活動が出来るので、その点が良かったと思います。学生に対してもATAではなく「TF」として接するので心構えが違ってきたかなと思いました。また、自分は授業設計をさせてもらう時にPFFPの授業内容がとても役に立ちました。ですので、TFが活躍する「場」、つまりTFを任用する授業がもっと増えたらいいなと思いました。PFFPを受けた直後は内容が自分の中に残っていても実践しない限り忘れていってしまうと思うんです。せっかくPFFPを修了したのなら実践できないともったいないと思います。

(文責:鄭 漢模)
インタビュー実施日:2020年12月14日

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教員

教員とTFの分担で、広がる可能性

大河内豊 先生(基幹教育院 准教授)

本授業では、専門分野の異なる3名の教員が一つのクラスを担当し、各々異なった視点から、教室テーマに沿い、かつ、グループ学習に適した題材(協学課題)が提供されます。本授業の目的は、各学生に、協学課題を考えるために必要となる講義に加えて個人演習やグループ作業を実施し、幅広い視野をもって問題を発見する姿勢や問題の解決を目指して学び続ける態度と技能、専門を異にする他者と協働できる能力を身につけさせることです。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、Aは大河内先生)

TFを採用した動機を教えてください。
私は基幹教育院所属なので、教育に関する情報が比較的よく入ってきます。それで、前々からTF制度が出来るというのを聞いていて、非常に興味を持っていました。TFを採用した動機というのは、コロナ禍で課題協学科目の遂行が非常に難しくなると感じられたからです。クラスを二つに分けて同時に行うことや、いつオンライン授業に切り替わるか分からなかったため、臨機応変な対応が必要で、TFのサポートが欲しいと思いました。この授業は他学部の先生と一緒にチームで行いますが、初めて担当される先生もおられ、初めてでこのような状況だとさらに困難が伴うだろうと思いました。そういうわけで、他の先生方にもTF制度を紹介し、よければ採用して進めていく案を提案してみました。ちょうど、私たちの研究室にPFFP(注:大学院生向け大学教員養成講座)を修了した学生が2人いましたので、彼らに依頼しようと思ったわけです。
TFについてあまりご存じでない先生にTFを取り入れることを提案して、拒否感のようものはありませんでしたか。
いえいえ、そんなことは全くありませんでした。むしろ、Moodleや教育系のアプリなどに慣れている学生からのサポートがあるのはありがたいという感じの反応でした。アプリによっては学生の方がより使い慣れていることもありますので、その使い方を説明してもらったり、Moodle上の資料管理などもしてもらいました。また、TFから「こういうことをした方が良いと思うのですが、どうでしょうか」と提案が出ることもあり、先生方の承諾のもとでTFが率先して進めることもありました。こうした点でも先生方は大変協力的で、そのおかげでTFが主体的に動くことができました。その分、教員にも時間の余裕ができ、授業の内容に集中することができたように思います。
以前のTAとTFでは何が違うと思われますか。
これまでのTAは、先生の指示を聞いてそれに従うという感じだったと思いますが、PFFPを受講したTFは、少し授業を客観的に見られるようになり、かつ主体的に動く姿勢が身についていたように感じました。恐らく授業の評価方法や組み立て方などを系統的に学んだからだと思います。また、PFFPは、講習や実践経験を積んだ後に修了証をもらうとお聞きしましたが、その制度も主体的に動く意識づくりに役立っているのではないでしょうか。
TFたちが具体的にどのように活躍されていたか、教えていただけますか。
今回、授業にはTF2人とATA1人いましたが、特に力を発揮してもらったのが、グループ分けやアイスブレイクですね。グループ分けは文理混合で行うのが良いのですが、3クラスを通してできる限り重なりがないようにアレンジするのはかなり骨の折れる作業です。これをしっかりとやってくれたのは大変助かりました。またアイスブレイクでは、クラスごとに異なる活動を用意して、飽きがこない工夫と、学生が話しやすくなる工夫をしてもらいました。また授業の内容でも興味深いことがありました。課題に関するアイディアをだすときに、文系の先生に理系のTFがつくことで、文系的な視点を理系のTFに気楽に尋ねることができよい発想に至った、ということがあったようです。
TFを採用して、どのような感想を持たれましたか。
今回課題協学科目でTFを採用してみて印象深かったのは、必ずしも教員とTFが同じ専門分野でなくても上手くいくということでした。課題協学科目という特殊な授業において、それが上手く発揮できたので、このTF制度の可能性を感じました。今度は自分の専門分野の授業でも採用してみたいと思っています。

(文責:鄭 漢模)
インタビュー実施日:2020年12月17日

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経済・経営学演習

TF

留学生として海外の大学で教育経験を積む

Mahmud Md Tapan さん(経済学府)

本演習では、株主や債権者等の企業外部の利害関係者に対して報告をする「財務会計」を、新聞記事や雑誌記事などを多用して学習するのと同時に、インターネットなどを通じて収集した会計情報を分析する「企業分析」の手法を学びます。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、AはMahmudさん)

今回TF活動に参加した動機を教えてください。
主な動機は、自分の授業のデザインを改善するためです。私は母国で大学教員をしていますが、私が母国で学生だったときには、九州大学PFFP*のような大学教員養成講座はありませんでした。そのため、私が母国で授業をしていたときは、自分の授業に対してかえって自信を持っていたのです。しかし、PFFPについて知ったことで、「もしかしたら私の授業の理論に関する知識が十分でなく、今以上に良い授業をデザインできるのでは?」と思うようになりました。それで、PFFPを受講し、TF活動に臨んでみたいなと思うようになりました。それから、もう1つの動機は、指導教員の潮﨑先生からTFになって授業の一部を担当してみるのはどうかとの話があったからでした(笑)。

*九州大学PFFP

PFFPとは、Preparing Future Faculty Programの略で、将来大学教員になりたい大学院生のための教育プログラムを意味します。現在、PFFPに該当する授業科目は、「大学の授業をデザインする」(2単位)の1科目です。受講した後でも、TF資格審査に時間がかかるため、実際活動が可能になるまで時間がかかりますので、ご留意ください。例えば、前期集中のPFFPを受講しますと、最短で同年度の後期から活動が可能になります。詳しくはこちらをご参照ください。

2つ目の動機についてさらに詳しく教えてくださいませんか。
TF資格を取得する前、つまり、ATA資格を持っていた時期にも、先生をお手伝いし、授業をデザインしたり、パワーポイント資料を作ったりしていました。また、授業内容のまとめのような感じで、授業中5~10分程度プレゼンテーションを担当することもありました。そのうち先生から、TFになって1コマの授業をやってみないかとすすめられました。先生は私が母国で8年間教鞭をとっていたことを知っておられました。それで、おそらく先生は、私にとって海外の、日本での大学教員体験をさせ、また、外国人の学生、つまり日本人の学生とコミュニケーションを取らせるために、TF活動を経験させてくださったのだと思います。
TF活動のためにどういった準備をしましたか。
まずは私のほうから5~7つの授業テーマを先生に提案し、その後、メールでのディスカッションを通して、最終的に3つに絞りました。3つに絞るまで、先生にはたくさんの資料をお見せし、多くのコメントを受けるなど、充実したご指導をいただきました。今回のTF活動では3回の授業を担当し、1つの授業あたり大体10~12時間程度の準備時間を使いました。とりわけ、私の授業は英語で行われたため、日本人学生に対する配慮に多くの時間を使う必要がありました。私があまりにも難しくて複雑な内容を提示してしまうと、経済学に対する興味を失ってしまうかもしれないと心配しました。それで、できるだけ図をたくさん使い、短くて易しい文章を使うなど、資料などをできるだけ分かり易くしようと心がけました。
実際に授業をしてみて学生たちの反応はいかがでしたか。
ヒアリングが十分でなく、授業内容をうまく理解できていない学生もいました。しかし私が選んだテーマに対しては概ね満足してもらえたような気がします。実際、学生たちは授業内容が本当に役立ったと言ってくれました。語学力は多少不十分だったかもしれませんが、それでも授業中少なくとも内容の50%は理解できていたようでしたし、また、パワーポイント教材を配っていますので、それを持って家でしっかりと勉強してくれたからだと思います。
TF活動を通して学んだこと、得たことを聞かせてください。
言葉が十分に通じない学生たちにいかにして内容を易しく伝えるかについて学ぶことができました。つまり、私にとって日本人の学生たちは外国人学生ですので、外国人学生とのコミュニケーション、言葉が通じなかったときの問題などを経験することができた点も良かったと思います。
インタビューの冒頭でPFFPの話が出たので、それについて少しお聞きしたいと思います。PFFPについて知ったきっかけはありますか。
ATA資格(注:九州大学の3つのTA階層の中で従来のTAに最も近い階層)を取得するためにTA教育プログラムを受講したとき、TFについても知り、必ずPFFPを受講してTFになりたいと思うようになりました。それでも実は、申込みを忘れてギリギリになってしまいましたが、TAサポートデスクに相談してなんとか授業に入れてもらいました(笑)。
PFFPで学んだことの中で特にこれからの教育活動に活かしていきたい内容はありましたか。
特に学生たちをいかにして授業にエンゲージさせるか、つまり、アクティブ・ラーニングでした。長沼先生[注:九州大学PFFP専任教員]から、プラクティカルなアクティブ・ラーニングの手法を学ぶことができました。学んだ手法のなかでも3~4つは、今後自身の授業でも使っていきたいと思っています。
インタビューは以上になります。本日は、色々とお話聞かさせていただき、本当にありがとうございました。
ありがとうございました。

聞き手・記事構成:鄭 漢模/記事作成:鄭 漢模
インタビュー実施日:2020年12月20日

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教員

留学生TFによる「疑似留学体験」の提供

潮﨑智美 先生(経済学研究院 准教授)

本演習では、株主や債権者等の企業外部の利害関係者に対して報告をする「財務会計」を、新聞記事や雑誌記事などを多用して学習するのと同時に、インターネットなどを通じて収集した会計情報を分析する「企業分析」の手法を学びます。

(同授業のシラバスから抜粋)

(以下、Qは鄭、Aは潮﨑先生)

今回TFを任用しようと思った理由を教えてください。
受講生には、疑似留学のような形で、英語で経済学の講義を体験してもらいたかったのと、マームドさんには「日本人学生に教える」という経験を積ませたかったからです。これまで経済学部は、オーストラリアのクイーンズランド大学と提携をして学生さんを派遣していましたが、コロナ禍で海外留学ができない状況になってしまいました。私のゼミでも海外研修旅行を行っていましたが、それも不可能となりました。その代わりに、私が英語を使う機会を演習の中で提供することにしましたが、私に加え、マームドさんにも学生をトレーニングしてもらいたいと思いました。また、経済学府経済システム専攻の国際コース第1期生であるマームドさんに、日本での教育経験を積んでもらいたいという指導教官としての意向もありました。彼はご自身の国でもともと大学教員ですので、いずれは国に戻ってキャリアを継続していきます。今はせっかく日本に来ているので、生の英語に不慣れな、留学をしたことがない日本人学生に教える経験をさせたかったのです。
TFにはどのような業務を依頼しましたか。
私のゼミではアクティブラーニングの一環で、日経STOCKリーグという、仮想の500万円で株式投資をするイベントに参加しています。投資のために様々な企業を分析しますが、昨年からアジア企業に投資ができるようになりました。そのアジアの企業を分析するために英文の財務諸表を分析することが必要になったので、それについての授業を3回行ってください、というリクエストをしました。授業で情報提供をしてほしいと思ったのです。それから、学生のフォローアップですね。質問に答えたりとか。
実際TFと一緒に授業を実施してみて、TFの活動をどう評価しますか。
3回の授業の構成は彼がやりましたが、1回目に彼が作ってきた授業案は学生には少し難しすぎると私が判断したので、修正してもらったりしました。授業を任せるといっても、通常の「講義」の場合には私が内容を決めて「これとこれを教えてください」と言うことができますが、「演習」ですので、比較的柔軟に「資本市場で株式を買う時に有益と思われる情報を、日本人にはない視点から、学生さんに英語で提供してもらいたい」というリクエストをしました。そのためか、私が思っていた内容と違うような事もありました。どの程度授業内容のすり合わせを行うべきかについては改善の余地があるかと思います。
初めてTFを任用してみてどのように感じましたか。
学生とTFの両方に貴重な機会を提供でき、どちらにも新たな学びがあったという点で、全般的に満足しています。とはいえ、先に述べたような課題も残されています。TFに授業の一部をお願いする際には、特に教員とTF間のコミュニケーションが大事だと感じました。

聞き手・記事構成:鄭 漢模/記事作成:渕上 佑子
インタビュー実施日:2020年12月7日

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